フィレンツェの中心街を歩いていると、建物の入り口横に小さな扉をよく見かけます。Buchette del vino(ワインの穴)またはFinestrini del vino(ワインの小窓)などと呼ばれるこの小さな扉は、16世紀頃、ワインを生産していた貴族たちが邸宅から直接ワインを販売するための窓口として使われていました。
ワインの穴は高さ30センチ幅20センチほどで、「フィアスコ」と呼ばれる底に藁が巻かれたワインボトル(写真上)がちょうど通るぐらいの大きさになっています。このワインの穴を通して、当時、貴族たちは顧客にワインを売るだけでなく、貧しい人々にパンや食料などを施していました。
フィレンツェの「ワインの穴協会」によると、フィレンツェ市内には約180、うち旧市街だけで150ものワインの穴が現存しています。ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナで有名な老舗レストラン Il Latini(イル・ラティーニ)の入り口横には、店内とつながっているワインの穴が残っています。
現在は、穴が塞がれてしまっているものがほとんどですが、その姿は実にバリエーション豊か。上の写真(上段中)やトップ写真(下段中)のワインの穴には、こちらでも紹介しているBulpの作品が描かれ、さながらアートフレームのようですね。
ティントーリ通りには、建物のドアベルとして使われているユニークなものも。
ジリオ通りにあるワインの穴には、”VENDITA DI VINO”(ワイン販売所)と書かれています。
ベッレ・ドンネ通りには、販売時間などが刻まれた当時の看板が今もしっかりと残っています。
イタリアでは3月上旬から2ヶ月ほどコロナ禍によるロックダウンが実施されましたが、ロックダウンが解除されると、Vivoli(ジェラテリア)やBabae(カフェレストラン)など、このワインの穴を再び活用するお店がでてきました。ソーシャルディスタンスを保つコロナ対策として、歴史あるワインの穴を復活させ、ワインやコーヒー、ジェラートなどを提供する試みは、フィレンツェならではの粋なアイデアですよね。
次にフィレンツェを訪れるときは、ぜひ街中に点在するワインの穴を探してみてください!
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