16世紀から伝わる銅版画の魅力に出会える、職人街の版画店 L’Ippogrifo

 

イタリア語の“acquaforte”(アクアフォルテ)とは、古代イタリア語では「硝酸」を意味し、現代では、制作の工程にその硝酸を使用する「銅版画」(エッチング)を表す言葉です。16世紀にヨーロッパ各地で広まったこの銅版画は、当時は主に書物の挿絵に使われていました。職人の工房が集まるフィレンツェのサント・スピリト地区に、その昔ながらの伝統的な技法でオリジナルの銅版画を制作・販売している工房兼ショップ L’Ippogrifo(リッポグリーフォ)があります。

この店のオーナーである版画家のジャンニ・ラファエッリ氏がフランチェスカ夫人と息子のドゥッチョさんと共に制作する作品は、フィレンツェの街並みや美しい風景、動物、花、野菜や果物など、そのモチーフはクラッシックなものからモダンなデザインまで多種多彩。室内装飾用の大きな版画だけではなく、ポストカードやしおりなども小さな作品も揃っています。

あらかじめ予約が必要ですが、店の奥にある工房で、銅版画制作の説明とともに印刷作業を見学させてもらうことができます。

エッチングの制作工程は、まず下絵を転写した銅板に防蝕剤を施し、コーティングします。その上から、鋼のニードルで表面を引っ掻いて傷をつけていくような感じで絵を彫りつけていきます。防蝕剤が削られたところだけ銅板の表面が露出するのですが、この銅板を硝酸などの腐蝕液の中に浸けると、その露出していた部分だけが腐蝕し溝ができます。腐蝕液に浸けておく時間が長くなるほど溝が深くなるため、腐蝕液に浸ける時間を調節することによって線の強弱をつけることができるんですね。

版が出来上がったら、いよいよ印刷。まず銅板の上にインクをのせ、凹部分までインクがしっかり行きわたるようまんべんなく伸ばしたあと、余分なインクを拭き取ります。次にプレス機の平台に銅板と刷り紙をおき、ローラーで圧力をかけて写し取ります。この印刷作業を何度も繰り返していくと、次第に銅板の溝が潰れていき、うまく写し取れなくなるため、同じ版で刷れるのは150枚まで。印刷されたものには、1/150のように通し番号がつけられます。

最後に彩色。インクが乾くのを待って、刷り上がった版画に一枚一枚丁寧に色付けしていきます。

作業は全て手作業。モチーフによっては彫りあげるのに数ヶ月かかるほど根気のいる作業ですが、軽やかで繊細な描線、腐蝕時間の調節によって作り出される線の強弱や微妙な濃淡など、銅版画の技法でしか表現できない優美繊細さに見惚れてしまいます。

お店の小さな入り口は、ACQUEFORTIの看板が目印。リッポグリーフォでは、オリジナルの招待状などのオーダーメイドも受けつけています。納品には少し時間がかかりますが、特別なイベントを演出したい方にお勧めです。

FIRENZE PLUSでは、リッポグリーフォの工房見学の予約手配と通訳も承ります。ご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。

L’Ippogrifo Stampe d’Arte /リッポグリーフォ・アート版画店
所在地:Via S. Spirito 5R, Firenze
電話番号:055 213255
営業時間:月〜土 10:00~19:00
定休日:日曜日
https://www.ippogrifostampedarte.com


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